イスラム法学者「中田考」は処刑を正当化するか

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「最も卑しい人間とは、他人を辱める者である」

 イスラム教の開祖ムハンマドの言葉を、日本随一のイスラム法学者という中田考氏(54)ならご存じだろう。過去にも日本人青年が中東でテロ組織に殺害されたが、当時、彼はその蛮行を擁護する発言を繰り返して顰蹙を買った。今度はイスラム国による、邦人2人の処刑を正当化するのか。

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 2月1日朝に後藤健二さんが殺されたことが明らかになると、イスラム国に自国のパイロットが拘束されたままのヨルダン国内でも、抗議の声が上がったという。

「私は政府の発表後、アンマン市内で人々がイスラム国の行為をどう思うかとインタビューしていました」

 と言うのは、ヨルダンの有力紙『ドストール』のアーマド・アルワー記者だ。

「すぐに“連中は自分たちをイスラム教徒だと言っているが、実際はただのテロリストに過ぎない”とか、“預言者ムハンマドは『殺人はメッカのカアバ(聖殿)を破壊するより許されないこと』と言った。彼らの行為は教義を無視している”といった声が寄せられたのです。そのほとんどは“イスラム国はイスラム教徒とは認められない”と、怒りに声を震わせていました」

 取材に当たったアーマド記者自身も、憤るヨルダン国民と同じ心情だと語った。

■「処刑は合法」

 怒れるヨルダン人と同じ、イスラム教徒という中田氏。だが、2004年にイラクで香田証生さんが殺された時には、テロリストに寄り添う発言に終始していた。

「“殺害してもイスラム法には反していない”“香田さんがイスラムを受け入れなかった以上、純粋な民間人であっても彼の処刑は合法であるとされている”という具合です」(国際部記者)

 何のことはない。香田さんの命を奪った過激派集団の行為を非難するどころか、追認していたのである。

 これらは死者やその家族を辱めるものに他ならないが、その後も彼は香田さんがアラブ諸国と敵対するイスラエルを経由したことを引き合いに追い打ちをかけた。

「敵のスパイと見なされたのだから処刑されてもやむを得ない、と言わんばかり。本当に日本人なのか? と、疑問に思いましたよ」(同)

 イスラム国は昨年6月に建国を宣言した。中東研究家が、これを受けた中田氏の不見識ぶりを証言する。

「中田さんは“預言者ムハンマドの後継であるカリフ(イスラムの最高指導者)がイスラム国で再興されたことに歴史的意義がある”“イスラム国での実現が期待されているイスラムの理想には学ぶ価値がある”などとインタビューで答えていた。世界のどの国もイスラム国を国家として承認していませんが、彼だけは認めたいようです。司令官ともパイプがあるそうですし、相手がテロリストであれ、心情的には相当近いものがあるのかもしれません」

 さて、当のご本人。処刑の正当化こそなかったが、同様に取材にもダンマリを決め込んだのであった。

「特集 日本に宣戦布告! 『イスラム国』狂気の残響」より

週刊新潮 2015年2月12日号掲載

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