「イスラム国」が宣戦布告! 「日本の悪夢を始めよう」 誘拐リスク急上昇の海外リゾート

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「安倍よ、このナイフは、健二だけを殺害するのではなく、お前の国民を、どこにいようとも、虐殺し続けることになる。さあ、日本にとっての悪夢を始めよう」――。フリージャーナリストの後藤健二さん(47)の殺害映像の中で黒ずくめの“処刑人”、ジハーディ・ジョンは日本政府に対しこう宣告した。世界中のイスラム国シンパに「対日本人テロ指令」が発された瞬間だった。

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 ベルギー、カナダ、オーストラリア、フランス。昨年来、海外の主要都市でイスラム国など過激派によるテロ事件が頻発していることはご承知の通りだ。

「今回のジハーディ・ジョンの言葉で、“イスラム国にとって、日本は敵だ”ということが初めて鮮明にされた。過激派の中でイスラム国を支持する組織や、シンパシーを感じている個人を、日本人攻撃に向けて焚きつける危険性があります」

 と語るのは、イスラム学が専門の飯塚正人・東京外大教授だ。

「英仏が空爆に参加していることもあり、ロンドンやパリといったヨーロッパの観光地などで日本人が狙われる可能性が高まった。インドやパキスタンも危ない。むろん中東やアフリカに進出している日本企業もターゲットにされる恐れがあります」

 こうした中、誘拐などのテロ・リスクが急上昇した場所があるという。軍事ジャーナリストで、『イスラム国の正体』の著書がある黒井文太郎氏が解説する。

「日本人が特に警戒しなければいけないのは、欧州や中東よりも、むしろインドネシアのバリ島など、東南アジアのリゾート地だと思います。東南アジアには狂信的なイスラム原理主義者が多い。たとえばインドネシアを本拠地とし、マレーシアでも活動する『ジェマ・イスラミア(JI)』という過激派集団は、9・11テロ以降、バリ島で2度にわたり、爆弾テロ事件を起こした。二百数十人が死亡し、日本人の被害者も出ました。このJIはイスラム国への支持を表明しています」

■テロのホットスポット

 マレーシア在住のジャーナリスト、末永恵氏もこう言う。

「JIを創設した、バリ島テロ事件の首謀者であるバシル師は、東南アジアにおけるイスラム過激派の精神的指導者です。その彼が昨年11月、獄中からイスラム国への支持を表明し、欧米と連携する日本も聖戦の標的になるとの認識を示しました。すでにJIはインドネシアから514人、マレーシアからも数百人の戦闘員をイスラム国に送り込んでいる。マレーシアのマラヤ大学で教鞭をとっていたアフマッド講師は、学生からイスラム国戦闘員を募集し、シリアなどに派遣した容疑で国際指名手配中です。またこの1月末には、イスラム国へ合流しようとしていた120人の戦闘員志願者が、渡航直前にマレーシア当局に逮捕されている。かように東南アジアはイスラム過激派によるテロのホットスポットと化している、日本企業や日本人学校などが標的にされれば、被害が大きくなりやすい」

 先の黒井氏も、

「フィリピンにも『アブ・サヤフ』という過激派組織がある。2000年に、ダイビングで有名なマレーシアのシパダン島で、欧州からの観光客など20人以上を誘拐し、フィリピン南部のホロ島に連れ去って、身代金を要求する事件が世界の耳目を集めました。この組織もイスラム国との共闘を宣言している。東南アジアのリゾート地には日本人がたくさん訪れますから、誘拐の機会を窺うのは容易です」

「特集 日本に宣戦布告! 『イスラム国』狂気の残響」より

週刊新潮 2015年2月12日号掲載

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