「アホの坂田」が「ブルーリボン賞」落選! 選考の大問題は「性格の悪さ」と上京交通費
1950年創設の伝統ある映画賞「ブルーリボン賞」。毎年2月に授賞式が行われるが、今回の助演男優賞で勝敗を分けたカギは、演技力ではなかったという。おかげで泣きを見るのは、お笑い芸人「アホの坂田」こと坂田利夫(73)である。
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この映画賞はスポニチや日刊スポーツなど在京スポーツ紙7社の記者が加盟する「東京映画記者会」が主催。23人の記者がスポニチ本社2階の会議室に集結したのは、1月4日のことだった。
「皆が意見を言った後、無記名で投票を行います。結果は1月中に発表される」
とは選考会に出席した記者の一人。問題の物言いが出たのは、助演男優賞を検討する際のことだった。候補者は『柘榴坂の仇討』の藤竜也や阿部寛、『0・5ミリ』の坂田ら5人。この作品で彼は、女性ヘルパーに家に押しかけられる、頑固な自動車修理工を演じている。
まず1回目の投票で、坂田を含む3人が6票、1人が5票を獲得し、0票の候補者が除外された。2回目で、8票獲得の役者が出て、坂田ら3人は5票で並んだ。
「トップと決選投票を行う2位を決めようと、3回目は坂田さんら3人を対象とした投票になった。そこで彼ともう1人が8票となり、7票の候補者が脱落。4回目の投票に移ることになりましたが、その直前に、ある社の芸能担当の女性デスクがこう呟いたんです。“カウス事件の時、坂田は相方の前田五郎を庇わなかったから、性格が悪い”と」(同)
■疑問だらけの落選理由
これは2009年1月、漫才師の中田カウスが、何者かに金属バットで襲撃された事件を指す。その後、カウスの自宅に〈お前を必ず片輪にして、舞台に立てぬ様にしてやる〉などと記された脅迫状が届いた。この差出人をめぐり、坂田と漫才コンビ『コメディNo.1』を組んでいた前田五郎が犯人と濡れ衣を着せられ、活動休止に追い込まれた。その際、前田は、坂田からコンビ解散の申し出があったとしていたが、一方の坂田は、コンビ解散を切り出したのは前田の方と反論したのだ。
「彼女はこの件で性格が悪いという主旨の話をした。皆、笑い、“そうだね”と場が同調する空気になった。その後の投票で、12対11と僅か1票差で坂田さんは敗れ去ったのです。決選投票ではもともとトップの役者が受賞を決めますが、坂田さんが勝ち上がっていれば、どう転んだか分らない。演技自体は、“非常に良い”と好評でしたから」(同)
女性デスクの真意は何か。
「私は性格が悪いとは言っていません。『コメディNo.1』が大好きだったので、“解散は寂しい”と言っただけ。前田さんを庇わなかったと話した気もしますが、いずれも選考後の雑談の中です」
しかし、別の記者は、
「彼女の発言で“坂田はないな”という流れになった」
それでもなお彼女は、
「坂田さんが選ばれなかった理由は別にあります。予算が限られており、大阪在住の坂田さんに交通費をお出しできず、充分な接待ができないということだった」
ともあれ、ここは当の坂田師匠の話を聞こう。
「エッ、性格が問題にされたんですか。それは違いますわ。前田さんには娘さんが二人いて、僕の芸能生活50周年のコントの舞台にも出ていただいてますねん。僕、優しいでしょ。交通費も、言うてくれたら喜んで自腹で行きますよ。まいっちゃったよ、たまんないね(坂田の持ちギャグ)。演技の評価が高かったんは、あ~りが~とさ~ん(同)。いつか必ずこの賞、獲ってみせます。交通費が理由って……でも笑えますね(笑)」
さすがはアホを演じて50年の坂田師匠だった。