主治医の本音を聞くためのキラーフレーズとは

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 健康診断やがん検診、成人病検診などで、思いもよらない異常が見つかることがある。そうなった時、細かな数値や画像データ、血液検査の結果などをふまえて、適切な治療方針を示してくれるのは担当の主治医だろう。

 ところが、医療の進歩によって、複数の治療法が示されることがある。つまり、たくさんの治療オプションを提示されて、そのメリット・デメリットを説明され、どれを選びますか? という話になる。

 えっ患者が決めるの? その通り。治療の意思決定はあくまでも患者サイドにあるのだ。

 そんなこと言われても選べないよというあなた。こんな時どうする?

■「先生だったらどうしますか?」と逆に聞け

 帝京大学医学部附属病院の外科医で、TV番組「林修の『今でしょ!講座』」にも出演している新見正則医師は言う。

「専門家の医者であっても、どの治療を選ぶかは難しいことがあります。ましてや医療の専門知識がない一般人にとっては、皆目見当がつかないままに決めざるを得ない場面になる。患者さんや家族が一番迷ったり、困る場面です」

 一般の人だけでなく、医師自身、重大な病気を告げられたら、その瞬間、頭が真っ白になり思考停止してしまうらしい。一般の人が、「自分には選べない」と思うのも当然なのだ。

「そんな時、僕が一番参考になると思う主治医への質問があります」と新見医師は教えてくれた。

「それは、『先生や、先生の家族が私と同じ病気だったら、どの治療を選びますか』というものです。これがシンプルかつ最良の質問です。この質問に医者がどう答えるか、それを見て選択肢を決めていくのも、確かな方法だと思います」

 ナルホド。主治医の本音を聞きだす納得のキラーフレーズだ。「先生が私だったら、この薬を飲みますか?」「先生が私だったら、何に気をつけますか?」などバリエーションも使える。素人っぽいが、これなら誰でもズバリと聞ける。新見医師は言う。

「そして、明らかに主治医がおかしいと思ったら、そんな時は遠慮なく他の先生の意見を聞きましょう。それがセカンドオピニオンということです」

 じつは、新見医師はセカンドオピニオンのパイオニアなのである。

■主治医に言ってはいけない危ないフレーズとは

 さらに新見医師は、逆に「危ない禁句」を教えてくれた。

「『できる限りのことをしてください』と言うのは危険です。一見、よいフレーズのように見えますが、医師はこう言われると、本当には必要がないかもしれない検査や治療も、念のためにやらざるを得なくなるのです」

 つまり、リスクを最大限考慮して治療方針を立てざるを得なくなるというのだ。その結果、過剰医療になりがちで、結局、お金も時間もかかってしまうことになりかねない。強い薬を使うことで、身体に負担がかかることもある。

 ちなみに、新見医師はよくない医者の見分け方も教えてくれた。

「まず、もう少し早く病院に来てくれれば……という医者です。そんなことを言っても家族は後悔が増すだけです。それと前に患者さんがかかっていた医者を批判する医者もダメ。昔から『後医は名医』といいます。つまり、後から診る医者のほうが情報が多く、より正確な診断を下せるのは当たり前なのです。それなのに、『前の医者は何を診ていたんだ』と言わんばかりの医者には、僕自身かかりたくありませんね」

 担当の主治医とうまくつきあい、本音を知るためのシンプルな方法と言えそうだ。

 『死ぬならボケずにガンがいい』は異色の外科医・新見正則氏が、普段表に出ない医師の本音や現代医療の問題に切り込んだ一冊。がんやボケにまつわる驚きの新常識や検査結果との向き合い方を丁寧に解説、自分らしく死ぬために必ず役立つ内容となっている。

デイリー新潮編集部

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