「渡辺喜美」落選から1カ月で「新年会」にお呼びが掛からず王国の終焉
遺憾の意、忸怩(じくじ)たる思い、重く受け止める――。政治家が好んで使う言葉は、よく考えてみると何を意味しているのか分からないことが多い。そういった言い回しで、人々を煙に巻くのだ。こうした“便利”な政治用語の一つに、「禊(みそぎ)」も挙げられよう。渡辺喜美・みんなの党元代表(62)も禊が済んだとして復活を画策しているようなのだが、世間はそう甘くない。
***
1月14日、東京地検が「8億円借入問題」で不起訴の結論を下すと、渡辺氏はこんなコメントを発表した。
「借入金問題については、昨年みんなの党の第三者検証委員会に説明して、法律上の問題はないとの結論をいただいた。地検にも基本的に受け入れていただいたものと認識している」
「今後、政治活動を続けていく上で二度と不本意な停滞を来(きた)さぬよう……」
これで禊は済んだとばかりに、「政治活動を続けていく」と高らかに宣言したわけだ。しかし、政治資金に詳しい神戸学院大学法科大学院の上脇博之教授は、
「不起訴といっても、今回は『嫌疑不十分』であり『嫌疑なし』ではない。犯罪成立の可能性があるものの証拠が不十分だっただけで、渡辺氏の説明が全面的に受け入れられたわけではありません。にも拘(かかわ)らず、彼は反省していない」
こう苦言を呈する。だが、渡辺氏には馬耳東風の模様で、渡辺家と親交の深い、地元・栃木県のさる建設業界関係者は、
「1月6日に渡辺さんと会った際、私が『(衆議院議員の任期である)4年後まで、しっかり充電して頑張って』と声を掛けると、喜美さんは『安倍政権の勢いが落ちるのを待っている。今は我慢の時だと考えています』と応えた。やはり、代議士バッジを再び付けたいんだなと感じました」
政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏も、
「喜美さんは『不起訴になって、すっきりした。今は東京と栃木、半々くらいの割合で行き来している』と言っていましたので、次の総選挙に向けて一から支援者回りをして行くつもりなんだと思います」
■「成人式にも…」
とはいえ、先代の美智雄氏時代からの「渡辺王国」が、昨年末の総選挙であっさりと崩壊したのはご存じの通りで、簡単に捲土重来と行くはずもない。事実、地元後援者の1人は、
「これまで毎年、喜美さんの後援会が、(地盤である栃木3区内の)那須塩原市内のホテルで新年会を開いていたのに、今年は開催されなかったのか、規模が小さくなったのか、私に声が掛からなかった」
と、落魄ぶりを嘆くし、渡辺氏の後援会幹部は、
「落選から1カ月以上経ちましたが、喜美さんとは選挙以来一度も会っていません。以前だったら、市議や町議を集めて行われる新年会には必ず彼も出席し、顔を合わせたものです。しかし、今年はすれ違う機会すらない」
那須塩原市議が、「なぜならば」と後を受ける。
「選挙に敗れ、『ただの人』となった彼に声を掛けるのは、昔からのしがらみが残っている建設業界などの団体くらいしかない。例えば、いつもは来賓として呼ばれていた那須塩原市の成人式にも、今年は彼の姿はありませんでした」
いくら本人が復活を切望していようとも、「みんながみんな」、それを望んでいるわけではない――。
速報「娘はフェイク情報を信じて拒食症で死んだ」「同級生が違法薬物にハマり行方不明に」 豪「SNS禁止法」の深刻過ぎる背景