「赤江珠緒」など女子アナ15人がかつて在籍という「今宮戎神社」福娘選びの昇運
ずっと日本で仕事がしたい――。NHK連続ドラマ『マッサン』でヒロインのエリー役を演じるシャーロット・ケイト・フォックスが、日本での女優継続を宣言したのは大阪の今宮戎(えびす)神社だった。この神社は“えべっさん”の愛称で多くの市民から親しまれているが、最近はアナウンサー志望の女子大生からも、ご利益があると注目されているという。
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松が明けた1月9日から11日、今宮戎神社では十日戎が開催され、“商売繁盛で笹持ってこ~い”の掛け声とともに、3日間で約l00万人の参拝客が訪れた。大阪市内に本社のある企業の役員によれば、
「拝殿でもらう福笹に銭袋や小判の飾りを付けるのですが、それをしてくれるのが福娘と呼ばれる臨時の巫女です。彼女たちのなかからアナウンサーになる女子大生が多いため、“未来の女子アナが仕える神社”と呼ばれています」
一体、何人の福娘が女子アナになっているのか。今宮戎神社で禰宜(ねぎ)を務める松原栄一氏は困惑顔だ。
「福娘を経験した女性がアナウンサーになって活躍しているとは聞いていますが……。あくまで神事をお手伝いしていただく女性を募っているだけで、アナウンサーが何人いるのかまでは把握していません」
そこで在阪テレビ局の幹部に話を聞くと、
「私が知る限り、15人の女子アナが元福娘。元TBSの進藤晶子さんや、元朝日放送の赤江珠緒さんなど関西出身者がほとんどで、採用したのも在阪のテレビ局が圧倒的に多いですね」
■賞金15万円と訪問着
西暦600年創建という今宮戎神社の成り立ちに比べると、15人の女子アナを輩出したという福娘の歴史は浅い。1953年に当時の宮司の発案でスタートして、今年で63代目になるという。今回は、約3000人の応募者から40人が幸運を勝ち取ったが、どんな基準で選ばれるのか。先の松原氏が言うには、
「応募資格は満18歳から23歳までの未婚の女性。まず、書類審査で2500人が通過します。2次審査と3次審査は面接のみ。1人ずつ応募番号と氏名、職業や学校名を名乗り、当社の宮司などの審査員の前を歩くだけというシンプルなものです」
2回の面接審査を経て、2500人が一気に150人まで絞られるという。
「最終審査では、1人15秒ほど自己アピールの時間が与えられます。そこで応募用紙に記入した特技を披露してもらいます。歌を歌う人もいれば、ダンスをする人もいる。その結果、40人の福娘が選ばれるのです。ちなみに、福娘には賞金15万円と訪問着一着が贈呈されます」(同)
さらに、大阪商工会議所の国際会議ホールで『福娘発表会』があり、40人のなかから3人の福娘代表が選出されるという。
だが、これではミスコンと何ら変わりがないのではないか。在阪テレビ局で女子アナになった元福娘が当時を振り返る。
「人生の中で一度に4回も試験を受けたのは、あの時が初めてでした。審査員の桂文枝さんとも話せて度胸がついた。そうした経験が就職試験の面接に役立ったと思います。キャビンアテンダント志望だった福娘の友人も、夢が叶いました」
履歴書に“福娘”と書くと、関西系企業の就職試験では効果覿面(てきめん)だという。やはり、霊験あらたかだ。