本人はご不満! NHKニュースウオッチ9「大越キャスター」突然の交代人事に官邸の気配

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 政治記者出身ゆえ、「天の声にも変な声がたまにある」と不満を口にするとかしないとか。NHK『ニュースウオッチ9』の大越(おおこし)健介キャスター(53)が3月末で交代することが内々に決定したという。2月頭にも発表されるこの人事。既定路線のはずの続投が一転して覆った裏に、官邸の気配が……。

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「例年、秋口から、幹部が集まる『キャスター委員会』が立ち上げられます」

 と、NHK関係者が次のように続ける。

「次年度からのキャスターを決めるこの場でも、大越さんが続けることに異論はなかった。本人も意気軒昂でしたが、年末の総選挙が終わってから雲行きが変わって、交代することになったのです」

 この狐につままれたような人事の糸を手繰っていくと、官邸に行き当たる。

「安倍官邸は4月以降、九電の川内(せんだい)原発を皮切りに、再稼働を進めていく。むろん世論の誘導は不可欠ですが、そこへ行くと彼は過去、再稼働に後ろ向きな発言をしたことがある」(同)

 事実、昨年2月に福島第一原発を訪れた際、大越キャスターはこう語っている。

〈再稼働の申請が相次いでいますが、自然は遥かに人間の想定を超える力を発揮し得るという教訓に立ち、慎重な上にも慎重な安全確認が行なわれなければならない〉

 放送ジャーナリストの小田桐誠氏によれば、

「ストレートニュースの代表が夜7時のニュース。これに対し、彼の番組はキャスターの個性が求められる典型例です」

 そのため、いきおい従前のNHKの殻を破るような発言もしてきたが、

「こと原発に関して、彼は再稼働にブレーキをかけてきた印象があります」(同)

 影響力のある番組だから、官邸はこれを嫌気し、NHKに水面下で交代を求めたという。籾井勝人会長をはじめとする幹部や経営委員の多くは、官邸の面々と気脈を通じている。“意向”は天の声となったわけだ。

■「サラリーマンですから」

 その後を襲う最右翼が、大越氏の1期後輩にあたる河野憲治・国際部長である。

「海外支局の経験が豊富でマスクもいい。11年からBS番組でキャスターを担当。その後、ウオッチ9の副編集長格の編集責任者を昨年6月まで務め、国際部長に就いた」(前出・関係者)

 部長職は通常2年任期で、それを1年足らずで退くのは異例のこと。そんなわけで、未だ人事に流動的なところがないわけではない。そこで河野氏に聞くと、知らないとしつつも、

「あのー、どういうレベルでって話になるかと思うんですが……」

 と、打診があったことを匂わせる。その一方で大越キャスター。彼にはお答え頂けなかったが、代わって家人を直撃すると、真率(しんそつ)な態度でこう吐露するのだ。

「NHKのサラリーマンですから上の命令に従います。フリーでなければ番組を選ぶこともできないし、淡々と受け止めています。ちっちゃなことにいちいち文句を言う夫ではありません」

 サラリーマンは歩兵である――。こんな言葉を寺山修司は残している。会社とマイホームを往復しながらの一進一歩。しかし、その履歴があればこそ、歩兵はひっくり返って「と金」に成ることもできるのである。

「ワイド特集 男の顔は履歴書 女の顔は請求書2015」より

週刊新潮 2015年1月29日号掲載

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