哲学者が遺した最後のエッセイ/『哲学散歩』
先日、八十五歳で亡くなった哲学者の最後のエッセイ集。行きつ戻りつ、時には寄り道をしながら、ゆったりとした足取りで哲学の先人たちのいた場所を訪ね歩く。
始まりはプラトンから。〈「ひろし」という渾名で歴史に永く名をとどめる〉という一文にふきだしてしまう。プラトンは本名でなく幅広い(=プラトン)肩からついた渾名だからと、「ひろし」呼ばわり。今後、プラトンは、私の中で永久に「ひろし」として記憶されるだろう。
親しみのもてるエピソードは単なるおふざけではない。...