企業の内部留保を「守銭奴」と罵った「麻生財務相」お身内の内部留保
新年早々、内部留保を貯め込む企業は“守銭奴”と発言して物議を醸したのは麻生太郎財務相。儲けた会社は剰余金を吐き出せということだが、ならば麻生大臣のファミリー企業はどうなのか。何と、内部留保がザクザク――。
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問題の発言があったのは、1月5日、生命保険協会の新年賀詞交歓会の挨拶のなか、企業の内部留保が約328兆円まで増えていることを指摘して、
「守銭奴みたいなもの。それだけ貯めてどうする」
と内部留保を貯め込む企業を繰り返し批判した。
ご承知のように麻生大臣は元々民間企業の社長。福岡の麻生グループの中核企業「麻生セメント(現・麻生)」の社長を1973年から79年まで務め、政界進出の際、弟の泰(ゆたか)氏(現・麻生会長)と交代している。
「グループは、麻生セメントを中心とした建設関係、専門学校を中心とした教育関係、飯塚病院を中心とした医療関係の大きな3つの柱があります」
と言うのは、雑誌『財界』主幹の村田博文氏。
「現在、九州経済連合会の会長には泰氏が就いています。要するに九州財界のトップというわけです」
麻生グループの企業数は82社、総売上高2085億円だが、これらの企業の内部留保はどうなっているのだろうか。
■大株主
「信用調査会社のデータで確認できるグループの主要企業14社の財務情報を見ると、内部留保である利益剰余金は300億円に近い297億円もあります」
こう語るのは経済ジャーナリストの一人。
「2012年12月に麻生セメントの内部留保は24億円でしたが、13年12月には33億円と、9億円増加。株式会社麻生は13年3月には24億円だったのが、14年3月には29億円と5億円の増加。12年12月に買収した出版社のぎょうせいは、12年9月に183億円だったのが13年9月には216億円と33億円も増やしています。そのほとんどは第2次安倍政権発足後の増加であり、アベノミクスの恩恵を受けた形です」
何のことはない、身内企業が剰余金をしっかり貯め込んでおいて、その一方では他の企業に内部留保を出せと言うのである。
「麻生さんの発言は、積極的に金を吐き出して好景気を作りたい、インフレが上手に機能して欲しいという気持ちからでしょうが、自分の会社が貯め込んでいるのはけしからん話です」
とは第一生命経済研究所首席エコノミストの嶌峰義清氏だが、政治アナリストの伊藤惇夫氏は言う。
「麻生さんは内輪と外に向ける話の区別ができない人。半径2メートル以内なら面白い男と呼ばれていますが、今回も評判通りの失言です」
この身内企業の内部留保について、麻生財務相サイドは、
「個別の民間企業の経営に関与しておらず、コメントすべき立場にはない」(財務大臣政務秘書官)
との答えだが、麻生大臣自身は株式会社麻生の大株主。まずは隗より始めよ、では。
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