ラフカディオ・ハーン一族の「不思議な話」/『怪談四代記 八雲のいたずら』
ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の曾孫にあたる民俗学者が、一族に伝わる、もしくは、自分の身に起こった、“不思議な話”の数々を書いたエッセイである。
子どものころから曾祖父ゆずりの放浪癖がある著者は、ギリシャの島やアイルランドなど、祖先ゆかりの土地を旅し、ハーンが四歳の時に生き別れになった母ローザを知る人、ハーンの大ファンという人々に思いがけずめぐり合ってきた。
中には単なる偶然、と言ってしまえばそれまでのできごともある。そこは、“不思議な話”を語り伝えてきた一族の末裔だけに、著者は旅先の偶然の出会いを深く心にとめ、それがまた、さらなる出会いをもたらす。...