不朽の名作『郵便配達は二度ベルの鳴らす』の著者による幻の遺作を発見!

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 著名な作家などの原稿が発見されると大きな話題となります。今春も「漫画の神様」手塚治虫の直筆未発表原稿が200点あまり発見され、ファンはもちろん多くの人が注目しました。

 アメリカでもハードボイルドの巨匠といわれたジェームズ・M・ケインという作家の原稿が発見され、大きな話題になりました。彼の代表作『郵便配達は二度ベルを鳴らす』と聞いて、「昔、読んだことがある」「映画は見た」「タイトルをなんとなく覚えている」と言う人が多いのではないでしょうか。それもそのはずです。この作品は過去に7回も映画化され、演劇化2回、オペラ化1回、そして最新の田口俊樹氏の翻訳(新潮文庫)を含めると8回も邦訳されている、不朽の名作なのです。

 アメリカでの刊行は1934年、当時は性描写や暴力シーンがあまりにもすごいためボストンでは発禁となりました。しかし、今では彼の作品はハーヴァードなどの大学の教科書に載っており、学位論文のテーマとしても取り上げられています。

 そんな巨匠の幻の作品を発見したのが、作家でもあり編集者でもあるチャールズ・アルダイ氏です。彼のほか多くの関係者はケインの遺作の存在を知っていました。そこでアルダイ氏は友人の編集者、出版界の人、書籍蒐集家、学者など少しでも手がかりを持っていそうな人に片っ端からコンタクトをとったそうです。探し始めてから9年後、ようやく幻の原稿を見つけ、刊行にこぎつけました。その作品が『カクテル・ウェイトレス』(原題:THE COCKTAIL WAITRESS  田口俊樹訳・新潮文庫)です。

 その内容は、ファンを裏切ることなく、とてもケインらしい衝撃的なものでした――。

 うら若き未亡人のジョーンは、幼い息子を養うため少々怪しげなバーで働いている。そこで彼女は、初老の富豪に見初められるものの、若くてハンサムだが貧しいトムにも出会い、心惹かれる。彼女はどちらの男性を選ぶのか。そして、いかにして自らの人生を切り開いていくのか――。

 アメリカでは主人公のジョーンが息子思いの優しい母親なのか、あらゆる男を巧みに手玉に取る、究極のワルなのかでネット上で活発な議論が交わされています。

 あなたはこの女、許しますか……。

デイリー新潮編集部

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