STAP細胞はネス湖のネッシー――「STAP細胞」とは何だったのか? 科学者本音座談会(6)

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 日本の科学界の渦中にいる科学者たちは実際のところSTAP細胞をどう見ているのか? 一連の騒動の表から裏までを、本音で語り合った。

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竹内薫 一般の方から「ぶっちゃけ、STAP細胞はあるんですか」と、よく聞かれます。現時点ではどうでしょうか。

榎木英介 あるかもしれないけど、ネス湖のネッシーがいるかどうかと同じレベル。

池田清彦 そう、ないことは証明できないんです。

緑慎也 遺伝子解析の結果からも、生きたマウスの細胞からできたとは考えられない、というデータが明らかになっています。結局、小保方(晴子)さんは独特の精神構造だとしか言えませんね。過去にシェーン事件というのが起きました。ドイツ人物理学者のヤン・ヘンドリック・シェーンは「ネイチャー」や「サイエンス」に20本前後の論文を載せていましたが、同僚が顕微鏡を覗いてもシェーンが望む結果は出ていない。しかし、彼は信じている。小保方さんもES細胞やTS細胞を持ち出しながら、彼女の中ではどこかで整合性が取れていたのかもしれません。

池田清彦 木嶋佳苗は自分でやっていないと信じている部分があるので、殺していないと断言する。小保方さんの場合は犯罪ではないけど、同様に、本人が思い込んでいるんじゃないか。真実と妄想がコンタミ(異物混入)を起こしていると考えないと、彼女の行動は理解できません。

出席者:竹内薫(科学作家)、池田清彦(早稲田大学国際教養学部教授)、榎木英介(近畿大学医学部講師)、緑慎也(サイエンスジャーナリスト)、丸山篤史(医学博士)

「特集 威信と信用が音を立てて崩れ去った 『日本の科学者』本音座談会 『STAP細胞』とは何だったのか?」より

週刊新潮 2014年8月28日秋風月増大号掲載

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