インターネットに足りないもの/『20世紀エディトリアル・オデッセイ:時代を創った雑誌たち』
雑誌は時代の中で生まれ、時代の流れの中で消え去って行く。その儚さを運命づけられた雑誌を、忘却の中から救い出そうという営為は狂的ともいえる情熱を必要とするようだ。本書は、従来の類書には「コンセプトやグラフィックの側面を含めた『新しい編集』について語られたものが少ない」「1960年代半ばから始まるアメリカのカウンターカルチャーの影響下に生まれた雑誌についての言及に乏しい」と考える二人の編者が執筆し、語り合い、関係者にインタビューを重ねて作り上げた労作だ。冒頭に採り上げられるのはその「未来的な紙面構成」で後のネット社会の到来を導いた、1960年代後半のアメリカのカウンターカルチャーを代表するカタログ『ホール・アース・カタログ』。...