古人類学者による現代人への警鐘/『そして最後にヒトが残った』
初期人類がこの地球上に登場して約四〇〇万年。その間に、地球上には二〇種類以上の「人類」が誕生した。そのほとんどは絶滅し、現在世界中に七〇億人いる人類はホモ・サピエンス、すなわち「ヒト」だけである。進化を単純に考えると、最も優秀な種だったからヒトだけが生き残ったと言いたくなるが、古人類学の第一人者である著者は、それを否定する。
著者が繰り返し述べるのは、我々ヒトだけが生き残れたのは「運」がよかったからにすぎないということ。初期人類は、地球全体が氷に覆われる氷河期にも、ジャングルがその勢力を増す温暖・湿潤期にも対応するため、よりよい生活環境を求めて常に大移動していた。...