心豊かで楽しげな「独居老人」たち/『独居老人スタイル』
思い思いのスタイルで暮らす「独居老人」が十六人。寂しく、不幸な晩年を送る人という、言葉に込められたイメージをぶち壊す痛快な本である。
口絵のカラー写真からして庭先で首をくくる人がいたり、全裸の老人が椅子の上で倒立していたりでぎょっとさせられるが、本文のインタビューを読みすすめると、それぞれの人が選びとった、生き方のまっとうさが伝わってくる。
著者の都築氏の関心領域やこれまでの取材経験から、本書に登場するのはアーティストが多い。それも、きらびやかな脚光を浴びるより、自分の表現を追求し、独自にその道をきわめる人が大半で、発表の機会もなく、ただ自分がやりたいから続けるという人もいる。...