ものを捨てることは過去と向き合うこと/『捨てる女』
ものを捨てるというのはこんなにたいへんなことなのか。
イラストルポライター内澤旬子さんのエッセイ『捨てる女』は格闘のプロセスがとにかくおもしろくていっぱい笑わされるが、最後に粛然とさせられる。
おもしろいのは彼女の猪突猛進ぶり。乳がんの手術を受けてホルモン治療をしたあたりから、それまでの、あふれる本の隙間に布団を敷いて寝る暮しがとつぜん嫌になり、何も荷物のないがらんとした部屋で生活したくなる。
離婚して、引っ越しを決意し、そこからは捨てて捨てて捨てまくる。...
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