「良心的出版社」を再吟味する/『物語 岩波書店百年史 2』
カバーの金の箔押しタイトルが眩しい『物語 岩波書店百年史』全三巻が書店に並んでいた。岩波書店創業百年記念の金ピカ本で、岩波茂雄が女学校の先生をやめて、神保町に正札販売の古本屋を開いてから既に一世紀が経過したわけだ。
第1巻はさておいて、佐藤卓己の書いたこの第2巻と、苅部直が書いた第3巻(『「戦後」から離れて』)が圧倒的に面白い。それぞれ独立した本として十分に愉しめる。「正史」は別途刊行の予定ゆえか、善くも悪しくも日本の文化をリードした岩波書店の歴史を、自由な発想で俎上に載せている。...