グーグル社員も「いらない」 さんざんな出来だったアンドロイド1号機
NTTドコモがiPhoneの販売に踏み切ったことで、再ブームに沸く日本とはうらはらに、世界的に見れば、グーグルのアンドロイドを搭載した端末が圧倒的なシェアを誇っている。
米調査会社IDCの発表によれば、2013年第3四半期(7月~9月)に世界で出荷されたスマートフォン2億6110万台のうち、なんと81%がアンドロイド端末だったという。アップルのiOS端末の12.9%と比べれば、その差は歴然だ。
しかし、そんなアンドロイドも1号機が発売されたときは、さんざんな評価だった。スマートフォンをめぐる世界的IT企業2社のつばぜり合いを、インサイド情報を交えて克明に描いた『アップルvs.グーグル―どちらが世界を支配するのか―』(新潮社刊)は、その模様を次のように伝えている。
■iPhoneとアンドロイドはドイツ車と韓国車を比べるようなもの
「『グーグル』を装備したT-モバイルG1は、2008年9月に発表された。アンドロイドの1号機としてはそこそこがんばったが、iPhoneと比較するのは、キア(韓国の自動車会社)とメルセデスを比較するようなものだった。タッチスクリーンはついていたものの、マルチタッチ機能をすべてはずしたこともあって、あまり使い物にならず、スライド式キーボードも、キーの感触がふわふわしていると不満の声があがった。手持ちのブラックベリーを捨ててG1に乗り換えるユーザーはほとんどいなかった」
■グーグル社員達も「いらない」
さらに辛辣だったのは、グーグルの社員たちだ。グーグルはその年、いつものクリスマスボーナスの代わりにアンドロイド端末G1を社員に配ったが、ほとんど喜ばれなかった。社員から漏れてくるコメントは、「すごいよ、僕のをあげようか」とか、「 イーベイで何台売られているか数えてみればいい、それが答えだ」というものだった。
さらに、ボーナス直後の全社ミーティングでは、なぜアンドロイドなんかで時間を無駄にするのかと大っぴらに質問する者さえいた。当時すでにグーグル社員の多くがiPhoneを持っていて、G1と比較すること自体が馬鹿げていたというのだ。まさに、「五年一昔」。