日本一話のうまい農家が教える 本当に美味しい野菜の3要素
レストランや居酒屋のメニューをみると、「美味しくて安全な有機野菜使用!」なんて文字が並んでいますよね。こちらもなんとなく、「あー、有機野菜ね、美味そう」なんてイメージだけでよくわかってないのに思っちゃいますよね。
でもそれって本当に美味しいのでしょうか?
思わず体が欲してしまうようなヤバい野菜「エロうま野菜」
教えてくれるのは脱サラして有機農業をはじめた、久松達央氏。脱サラして有機農業と聞くとなんだか清貧でキレイゴトばかり話す、いわゆる“自然派”な人を思い浮かべちゃいますが、久松氏はどうやら様子が違います。
年間50品目を個人の消費者や飲食店に直接販売するという久松氏の目指す野菜は、清楚で美しい有機野菜のイメージとはちょっと違います。一度食べると、思わず体が欲してしまうようなヤバい野菜で、名付けて「エロうま野菜」だそうです。
「日本一話のうまい農家」と呼ばれる久松氏は、著書『キレイゴトぬきの農業論』の中で「野菜の美味しさの三要素」を明かしています。
栽培時期、品種、鮮度
久松氏によると、栽培時期、品種、鮮度、この三要素で野菜の美味しさは8割方決まるそうです。つまり旬の時期に、好みの品種を、収穫直後に食べる、というのが美味しい野菜を食べる一番手っ取り早い方法ということになります。
なぜ有機野菜が美味しいといわれるのかといえば、この三要素が「結果的に」満たされたものが多いからとの話。栽培方法そのものの影響はこの三要素と比べると、小さいようです。
昔の野菜は美味しかった?
年配の方が「昔の野菜は美味しかった」と言うのを聞いたことがあります。単なるノスタルジーのようにも聞えますが、実はこの感想も、その三要素で説明がつくのです。昔は、近場でとれた“旬”の野菜しか買えないことが多かった。だから年配の方は、結果として、近場の旬の野菜を味わっていた可能性があります。
現在では、流通技術の発達により野菜の流通はかつてないほど広域化しています。かつては消費地から近いところでしか栽培されませんでしたが、今は全国から運ばれてきます。しかし、野菜は生き物で、収穫後も呼吸や蒸散といった生命活動に蓄積された栄養分が消費され、時間がたてば味は必ず落ちるそうです。
流通技術の向上は、決して悪いことではありません。おかげで今はスーパーに行けばさまざまな野菜が一年中手に入ります。しかし、いくら栽培技術や品種改良が発達しても、旬を外したものは適した季節のものに比べ、味も栄養価も遠く及ばないものだそうです。
また、品種改良の結果、美味しさよりも、見た目の良さ、萎れにくさなどを重視した品種も多く生まれました。そういう品種は、それはそれで利用価値があるのですが、美味しさを求めるのならば避けたほうがいいようです。
旬の時期に、栄養価の高い、近くで採れたものしかなかった時代は、今ほどいろいろな品種を味わうことはできなかったのはたしかです。でも、そのぶん実はシンプルに美味しいものを味わえたのかもしれませんね。