百一年生きた人の芯にあるもの/『家と庭と犬とねこ』

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 児童文学者の石井桃子が亡くなったのは二〇〇八年、百一歳のときである。この本には一九四八年から二〇〇二年まで、そのときどきに書かれた暮らしにまつわるエッセイが収められている。
 雪のなかの餅つきや家のねこ、花どろぼう、大好きなさやえんどうのおみおつけ。同じ話題がべつの文章に出てくることもあり、ものの考えかたや感じかたがずっと変わらないことにびっくりする。まじめで、感受性がするどく、何かことが起きると、いたずらっ子のように心をはずませ面白がる。
〈こいつ、何で金をもうけたのかなという顔で、『いいおすまいですね』と、おせじをいわれることがある〉
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