「世界史ブーム」の楽しみ方/『二十世紀論』

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 はからずも同時に出版された二冊の新書、福田和也『二十世紀論』と小谷野敦『日本人のための世界史入門』は、それぞれ二十世紀の百年、古代ギリシャ以来の三千年という対象とする時間枠の長短こそあれ、ともに全体が俯瞰される世界史であって、個別なテーマ史、各国史ではない。

 しかし本来雑多で多様な世界史が、確かなまとまりをもって語られるのは、歴史の根底に明確なる意志、目的、原理が認められる場合で、普通そうした歴史の見方はマルクス史観、皇国史観、陰謀史観(ブッシュの“悪の枢軸”史観ほか)などと呼ばれて現在、評判がよろしくない。...

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