行き着けば日本のかご/『日本のかご』
高価な宝石にも、ブランド物のバッグや靴にもさほど興味はないけれど、かごだけは別である。すてきなかごに出会ってしまうと、所有欲がむくむくと顔を出し、どうしても家に連れて帰りたくなってしまうのだ。まるで自分がそのかごと恋に落ちたかのように錯覚し、相思相愛、是が非でも自分のそばに置きたくなる。
そんなふうにして、世界中からはるばる連れて帰ってきたかご達が、我が家にはたくさんある。たとえ同じような姿に見えても、同じかごはふたつとない。作られた場所や、編んだ人の息づかい、大げさなことを言ってしまえば、編み手の人生そのものが、そこには宿っている。...