自宅での喫煙に“4500万円払え”裁判 「禁煙学会理事長」の医師法違反が明るみに
診察なしの診断書
昨年11月に横浜地裁が言い渡した判決は、体調不良と副流煙の因果関係はナシ。団地の自宅内で喫煙するのは自由で、社会的相当性を逸脱するような事情がない限り違法とはならないと認定した。男性の完全勝訴にもかかわらず、原告側は東京高裁に控訴中だ。集合住宅の喫煙トラブルがここまで先鋭化した例も珍しい。
その理由を窺い知る資料が裁判記録にあった。そこには、「日本禁煙学会」理事長、作田学医師の名前がある。彼は、原告娘の体調不良は受動喫煙が原因とする診断書を出しているのだが、判決では、
〈診断は原告娘(註・匿名にした)を直接診察することなく行われたものであって、医師法20条に違反するものといわざるを得ず〉
と、バッサリ。作田医師の医師法違反まで認定しているのだ。娘が化学物質過敏症などとする診断書は、他の病院が出したもの。その診断書と娘の委任状を夫妻が作田医師に渡し、それらをもとに、診断書や意見書が作られたのだ。他方、禁煙学会の「受動喫煙症診断基準」についても、判決は、
〈早期治療に着手するためとか、法的手段をとるための布石とするといった一種の政策目的によるもの〉
と断じている。判決日に法廷に足を運ぶ入れ込みようだった作田医師に説明を求めれば、
「書面を精査し、夫妻に聞き取りを行い、書面を1通作成し交付しました。なお、診断はしていません。書面は診断書でなく意見書です」
とごまかす始末。反たばこ訴訟から、“禁煙派のボス”が事実を煙に巻く様子が浮かび上がった形である。
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