交際相手がいない独身者が増加中の背景に「親と同居」「モンペ」 日本の最新“結婚事情”
日本で「未婚」というと、女性のことをイメージする方が多いのではなかろうか。男女雇用機会均等法が施行された1980年代以降、高学歴の女性が社会進出して、独身のキャリアウーマンが増加。その影響もあって未婚の女性が増えている、と思われがちだが、現実は違う。2015年の国勢調査によると、50歳で一度も結婚経験がない人の割合は女性で14・9%なのに対し、男性は24・2%。つまり、約4人に1人が、結婚経験がないというのだ。
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さらに、衝撃的な数値がある。18歳から34歳までの結婚歴のない未婚者のうち、男性の7割、女性の6割が「交際相手がいない」という。
「欧州圏の海外メディアが、結婚しない日本人が増えていることについて私に取材に来られるのですが、彼らは、法律婚が減っているからと思っています。それで私がホワイトボードに、18歳から34歳までの、男女の非交際率を書くと、みな驚愕します」
そう解説するのは、少子化問題の専門家で、ニッセイ基礎研究所生活研究部準主任研究員の天野馨南子氏。7月末、『データで読み解く「生涯独身」社会』(宝島社新書)を出版した。
「海外メディアは、18歳から34歳といえば、最もパートナーが必要な時期なのに、7割もの人が交際相手がいないのは前代未聞ということでしょう。日本には魅力的な女性が多いのに、どうして交際しようと思わないのか理解できないというのです。日本の男性は草食系と言われ、昔は、結婚するためにはお見合いをするのが主流でした。会社の上司、親、家が結婚相手を決めたわけです。むろん当時は肉食系文化はなかったのですが、現在、お見合いによる結婚は1割を切っています。自由恋愛によって結婚しなければならなくなり、交際未経験の20代後半の男女に、交際経験がない理由を問うアンケート調査を行ったところ、男女とも“どのように男女交際すればよいかよくわからない”という回答が一番多かったですね」
14年に明治安田生活福祉研究所が行った、「結婚に関する調査集計データ」で、20~49歳の未婚・既婚、双方の男女に「なぜ生涯未婚率が上昇していると考えているか」とのアンケートでは、男女とも、「雇用・労働環境(収入)が良くないから」という回答が男女平均で4割近くあった。
「けれどもこれは、回答者の主観を表しているにすぎません。経済的理由で結婚できないというのは、本当に正しいのか。20代女性の6割、30代女性の7割が結婚相手に求める最低年収として400万円以上を希望しています。結婚には400万円という“年収の壁”があるかのように見えますが、20代後半の大卒・院卒の男性でさえ、半数はその壁を超えていません。15年の平均初婚年齢は男性31・1歳、女性29・4歳です。夫婦の平均交際期間は4・3年となっています。年収の壁が超えられないのがほとんどである20代後半の男性は、それでも女性がアプローチして(されて)交際し結ばれているのです。お金がないから結婚できないという理由は説得力に欠けます」
若い男女の非交際率が高い背景には、親との同居率の高さが挙げられるという。
天野氏の著書によれば、2015年の国勢調査から算出した20代~40代の未婚男性の6割超が身内と同居。同じく、20代~40代未婚女性では、20代は身内との同居が72・7%、30代は68・1%、40代は65%と高い数値となっている。海外と比べるとどうか。アメリカは、18~34歳の男女が34・1%、同じくオランダは36%、イギリスは34・3%、ノルウェーは22・9%と、日本よりもかなり低い。
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