ASKA、“盗聴・盗撮”妄想の壊れた脳 懲役5~6年の可能性

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 バカは死ななきゃ治らない、が真理なら、2014年5月、覚醒剤取締法違反で逮捕されたASKA(58)の再犯は、なんら不思議ではない。とは言え、執行猶予期間に2度目を犯すとは、もはや寒い喜劇である。

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執行猶予期間中だった

 11月25日夜7時すぎ、東京都目黒区のASKA邸前を通りかかった人は、

「パトカーが着いて制服を着た警官が2人、インターホンを押すと、部屋着姿のASKAさんが出てきて笑顔で招いていました」

 と振り返るが、実は、笑みを浮かべて語ったのは不可解な内容ばかりだった。

「その日、6時59分にASKA本人が110番通報してきましてね」

 と、捜査関係者が語る。

「盗聴、盗撮されている、というので、碑文谷署から人を送りました。自分のパソコンがアメリカのあるハッカーサイトの標的になり、盗聴と盗撮を繰り返されて、パソコンが何度も壊されたんだとか。同時に奥さんからも話を聞くと、夫は八王子の病院に強制入院させたあと、九州の病院に任意で入院し、今も毎月そこに通っている、夫の行動は常に監視していたが、11月に入ってから盗聴とか盗撮と言うことが増えた、とのことでした」

 捜査員が不審に思ったのは言うまでもない。

「実は通報を受けた時点で、薬物事件を扱う警視庁組対5課に連絡していましたが、実際、ASKAは眼が充血していたので、任意に自宅2階のトイレで採尿してもらった。採れたのは微量ですが、28日、科学捜査研究所で鑑定すると、覚醒剤の陽性反応が出たんです」

■注察妄想と考想伝播

 28日午後8時20分、捜査車両で警視庁に移送される前にも、自身の逮捕情報に対してブログで〈これは、マスコミのフライングです〉などと反論したASKA。その前日には、来月出す予定だったという新しいアルバムについて、〈今、13曲をとおして聴きました〉と書きこんでいたが、お蔵入りは間違いない。もう一つ、お蔵入り確実なのが、出版予定だった新著だが、

「ASKAはブログの焼き直しだけではイヤで、新たに自分で書きたいと意欲を示していた。テーマは“見えない敵との戦い”。要は盗聴、盗撮との戦いです」

 と出版関係者。それにしても「盗聴、盗撮」発言はなにを意味するのか。精神科医の片田珠美氏が説く。

「彼は常に監視されているという“注察妄想”に駆られ、盗撮されていると思い込んだ。盗聴のほうは自分の考えが盗まれていると感じる“考想伝播”の可能性がある。これらは“病的体験”といい、典型的な覚醒剤依存症の症状です。この場合、病的体験を真実だと思い込んでいるので、怖くて仕方ない。現実検討能力も失われているので、警察に助けを求めるんです」

 元東京高検検事で弁護士の川口克巳氏も、

「自分の意志で自宅が盗聴、盗撮されていると通報したなら、まず薬物中毒です」

 と言い、ASKAの今後についてこう見る。

「実刑になります。覚醒剤は、使用だけで求刑が1年6カ月を下回ることはない。まして前回は懲役3年という厳しい判決で、執行猶予も4年と長くついた。前回はMDMAもやっていて、今回は覚醒剤だけなら2〜3年。1年以下でなければ再度の執行猶予はつきません。今後、警察は彼が足を運んだ場所を隅々まで家宅捜索し、ほかの薬物が出てきたり密売がわかったりすれば、さらに重くなる可能性も。前回の執行猶予は消えるので、5、6年は入ることになりますね。収監される刑務所ですが、清水健太郎の前橋、田代まさしの黒羽や府中は、いずれも可能性があると思います」

 還暦も刑務所で迎えるこの“鳥”が“飛ぶ”ことは、もうないのかもしれない。

ワイド特集「1度目は悲劇 2度目は喜劇」より

週刊新潮 2016年12月8日号掲載

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