朴槿恵大統領、辞任表明は同情目当て 退陣までの長い道
整形疑惑まで取り沙汰されるに至り、我慢ならなかったのか。ついに、去る11月29日の会見で韓国の朴槿恵大統領(64)は「任期満了前の辞任」に言及した。ただ、それは同情目当ての言動で、ここからが長いのである。
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11月29日に任期満了前の辞任を表明した朴槿恵大統領
「今回の会見のポイントは、国民に心配をかけたと謝罪し、任期満了前での辞任に触れたこと。更に、辞めるか否かの判断を国会に委ねるというものです」
と、現地特派員。10月下旬に端を発した韓国の政局騒動は、大統領の“無二のお友だち”こと実業家・崔順実(チェスンシル)の逮捕などで、風雲急を告げていたのである。
元朝日新聞ソウル特派員でジャーナリストの前川惠司氏によると、
「11月27日のことです。首相経験者らを含む各界長老が彼女に対し、“このままでは造反がかなり出てしまう”と、来年4月までの辞任を提案しています」
翌28日には、与党セヌリ党の「親朴系」のベテラン国会議員が、「名誉ある退陣」を勧めることで一致していた。包囲網が狭まるなかでの会見だったわけだが、
「まるで悪あがきをしているようですね。辞める時期を明示していないので、任期満了前日まで引っ張ったって理屈が通る。また、時間を稼ぎたいという思惑も透けて見えました。12月末に大統領と親しい潘基文が国連事務総長の任期を終える。彼が大統領候補としてNYから戻ってくることで、批判を和らげられるのではないかと考えているはずです」
と、先の前川氏は続けるのだ。とはいえデモは全国に拡大、26日の土曜日には、190万人が参加している。
「辞めると言っているのに時期さえ明示していないのだから、国民の怒りが収まることはない。今年は暖冬でデモはしやすいから、しばらく続くでしょう」(同)
■左翼政権が生まれると…
元時事通信ソウル特派員の室谷克実氏が後を受け、
「なにしろ扇情的な人たちですから。“水に落ちた犬は打て、そうしなければ這い上がってきて噛むから更に叩け”という国民性。彼女にまつわる悪口は、ずっとついてまわりますよ」
その一方で朴大統領はつい最近、与党幹部に対して、
「訴追を受けた歴代大統領のように、私腹を肥やしたわけではない」
と渋面を作って告げたという。職権をみだりに振りかざしたとしても、「過去最低の大統領」という評価には異議申し立てをしたいようなのだ。
12月1日に開かれた与党の議員総会では、「4月退陣、6月大統領選挙」を求める方針が決定された。
「朴政権への反発が極まって仮に左翼政権が生まれた場合、『親北』政策を採りつつ、財閥解体を進め、経済の崩壊を助長することになりかねません」(早大の重村智計名誉教授)
朴大統領の会見は醜聞発覚以降3度目で、「これが最後」だという。悲劇、喜劇と続き、大統領選という終わりの始まりへ踏み出したというわけだ。
ワイド特集「1度目は悲劇 2度目は喜劇」より