北朝鮮の冬事情、餓死の心配はない? ミサイル“連射”の影響は…

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国はアテにならないから

 まもなく厳冬を迎える北朝鮮。今年は、2月の弾道ミサイル発射実験を皮切りに既に16回もミサイルを発射し、核実験も2回行われた。それらのツケが庶民生活に回ってくれば、寒さと飢えで大量の死者が出ると懸念する声が広がっているのだ。

 外信部記者が言う。

「先月アメリカのシンクタンクが行った北朝鮮初の世論調査の結果が悲惨でした。食糧配給制が暮らしに役立っていると答えた人はゼロ……。また、11日に国際食糧政策研究所が発表した世界飢餓指標ランキングでも、118カ国中98位と、食糧事情の深刻さは改善されていないようです」

 ところが、デイリーNKジャパンの高英起編集長は、こうした“心配”について、

「たしかに、20年ほど前には、数十万から数百万人規模の餓死者を出したこともありました。現在でも、他の発展途上国同様、貧困層の中には餓死の危機に瀕している人はいるでしょう」

 とした上で、北の台所事情をこう分析する。

「今の北朝鮮で、大規模な食糧危機が発生することはありえません。ここ3年、米の価格が1キロあたり5000北朝鮮ウォン(日本円で600円程度)前後で安定して推移しています。もし食糧危機が起きているのであれば、価格はすぐに高騰しますからね」

 軍事開発費の膨張による庶民への影響も、

「今の市民生活にはほとんど無関係なのです。実は、住民たちは配給に頼っていません。彼らは自ら市場を開き、靴下や食器といった日用品から、燃料、米、野菜、肉にいたるまで取引しています。当初は当局も統制をかけようとしましたが、ここ20年での拡大は止められず、今や役人でさえ、市場を介さないと食糧や衣料品が手に入らないほどに浸透している。こうした状況を受け、最近は統制を半ば諦め、黙認しています。近年は主食のじゃがいもなどの豊作も続いているし、飢餓とは程遠いですよ」(同)

 越冬の危機を危惧する声は、海外からの支援を分捕りたい党のプロパガンダだったというわけだ。

週刊新潮 2016年11月24日号掲載

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