「反・朴槿恵」韓国ルポ “怒りの壁”を埋める貼り紙の中身とは
〈移民したい〉〈地獄韓国はもう嫌だ〉。そこは庶民の「本音」で埋め尽くされていた――。朴氏(64)の「唯一の親友」だった崔順実(チェスンシル)氏(60)による国政介入疑惑が発覚し、反朴槿恵ムードに火がついたのは10月24日。以来、半月超が経過しても、冬のソウルの「熱」は冷めていなかった。以下は、国家の危機に見舞われた首都の現地ルポである。
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記者会見で謝罪する朴槿恵大統領
10月29日土曜日1万2000人、11月5日土曜日4万5000人。ソウル市内の反朴槿恵デモの参加者数は週ごとに増えていて、今月12日土曜日には「100万人規模のデモが予定されている」(「コリア・レポート」編集長の辺真一氏)状況なのだ。さしもの「不通大統領」にもこの国民の声は伝わっているようで、事実、ソウルの一角はピリピリとした空気を漂わせている。
11月上旬、最低気温が氷点下だったソウルの中心地にある光化門エリア。このエリアは毎土曜日、大規模デモが行われている現場だ。さすがに平日の昼間となると人で溢れかえることはないものの、群衆にも劣らない確かな「存在感」を放つ物が存在していた。
〈怒りの壁〉
こう名付けられた、畳大の黒い鉄製のフェンスが16枚設置され、無数の「貼り紙」がされているのだ(写真参照)。近くにはペンと紙が置かれていて、朴氏への怒りの声を書き込んで貼ることができる。その声の一部が、冒頭に紹介したものだが、他にも怒りの壁には朴氏に対するこんな言葉が残されていた。
■ビラを没収
韓国国民の「真の声」で埋め尽くされた壁
〈崔順実は朴槿恵に下野を指示しろ〉
〈親たちの税金は順実の靴代だったのか〉
〈無能大統領 あんた処女だって? 遺伝子検査してみたら?(注・崔氏の父と朴氏の間には隠し子がいると噂されている)〉
〈気が狂った? 病院に行ってみたら〉
〈ギロチンに〉
便所の落書きにも近い罵詈雑言ではあるが、逆に韓国国民の本心がヒシヒシと伝わってくるのだった――。
所変わって大統領府、通称「青瓦台」。その付近を本誌(週刊新潮)記者が「散策」していると、制服を着た警官が近寄ってきた。
「どこに行くんですか?」
「青瓦台を見に」
「ちょっと鞄の中を見せてもらえますか」
怪しいものなど持っていない記者は鞄を開ける。中にはノート等の他に、怒りの壁の前に置かれていて、「取材土産」として持ち帰った、デモ団体作成のビラがあった。そこにはこう書かれていた。
〈これは国か。朴槿恵、下野しろ〉
〈国のあり方が滅茶苦茶〉
〈史上最悪の政権不正〉
すると、それを見た警察官は、
「こういうものは困るんですよね」
と言って、ビラを没収したのだった――。
玄界灘の向こうの「厳戒態勢」の首都。この状況をもたらした「主」に待ち受ける過酷な運命とは……。
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