長男が傲慢な男だから後継者が火種になるラスボス「二階俊博」

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 この人が訪中すれば「習近平」、訪韓すれば「朴槿恵」が出迎える。二階俊博・総務会長(77)は、今や「ラストボス」と持ち上げられる自民党の大実力者であるが、悩みのタネがここに一つ。この度、地元の市長選に立候補する「ご愛息」の評判が最悪なのだ。

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二階俊博・総務会長(77)

 御坊(ごぼう)市は、和歌山県の中央に位置する人口3万人弱の小都市である。5月に行われるこの市長選に、二階俊樹氏(50)が立候補を表明したのは先月のこと。

 地元後援会関係者が言う。

「二階さんには3人の息子がいますが、俊樹さんはその長男。早稲田を出て、証券会社に就職しましたが、じきに辞め、20年以上も父の秘書を務めてきた。大柄で、顔は親父によく似ていて、父の後継者と目されてきました」

 御坊市は、衆院11期当選中の二階代議士が長らく居を構え、事務所も置く地元の“王国”。その首長選に出馬するのだから、次期市長は確実。そう考えられていた。

■バットを持って…

 しかし、3月9日、御坊に衝撃が走る。

「6選を果たしてきた現職の市長が出馬を表明したのです。彼も二階さんが擁立した“直系”市長で、言わば恩人に刃を向けたワケですが、その理由は“傲慢な俊樹だけは後釜にしたくない”だったとか」(同)

 実際、当の市長の陣営に聞くと、

「現職も、俊樹さんじゃなければ引退するつもりでしたよ。でも、彼はあまりに評判が悪すぎる。市役所で職員に暴言を吐いたとか、警察に対しても横柄だとか。親父さんをバットを持って追いかけた、という話もあるくらい。だから親父さんに直接“彼では厳しいですよ”と伝えたのに、降ろそうとはしなかったんです」

 総務会長に世話になってきたのは確かだが、とても後を任せられる息子ではない─―そう吐露するのだ。

 他にも、地元を回ると、

「国会議員よりも上という感覚の持ち主。以前、鶴保さん(庸介・参議院議員)を“けしからんと怒鳴りつけてやった”と自慢していた」

「彼の元に行った県知事の秘書が“もう二度と行きたくない”とこぼしていた」

 と、悪評が出るわ出るわ。

 当の俊樹氏は、

「確かに自分は短気ですけど、暴言や、まして暴力なんて絶対に振るいませんよ。全部対立陣営が流しているウソなんです」

 と言うけれど、そもそも、対立候補が立つこと自体が“恥”であるし、こうした評価にはもはや抗いがたく、

「近頃では後継者の地位も危うくなってきています」

 と言うのは、二階派のさるメンバーである。

「ANAに勤めていた三男坊が会社を辞めて、東京で秘書になったんです。サラリーマン生活が長いだけあって腰が低く、“彼を次に推すべきだ”との声は日増しに高まっていますね」

 先の後援会関係者も、

「二階さんの引退後、同じ和歌山の参院議員・世耕官房副長官が衆院鞍替えを狙っているのは、公知の事実。この状況では、いつか選挙区が乗っ取られるのではないか、と心配でなりません」

 森元首相しかり、古賀元幹事長しかり。大物政治家が子育てに苦労する例は、よく耳にするが、二階氏も同じ轍を踏んだのか。

 一代で築いた王国もあっけなく崩壊するかもしれないけれど、これもまた自らが生んだ火種なのである。

「ワイド特集 春色の時限爆弾」より

週刊新潮 2016年3月24日号掲載

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