全国紙は一律15億円! 金集めだけ抜かりがない東京五輪組織委員会の錬金術
新国立競技場の建設やエンブレムでは大失態をやらかし、五輪組織委員会の信用は地に落ちた。ところが、スポンサー集めだけは、極めて順調なのだとか。スポンサー収入は目標の1500億円を既に上回り、今後、全国紙から一律15億円集める予定だという。
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5年後に控えた東京五輪の「序曲」は、耳を塞ぎたくなるような不協和音にかき消されつつある
組織委員会がこれまで、1社あたり協賛金150億円前後と言われる「ゴールドパートナー」契約を結んだのは、NTTやアサヒビールなど計13社に上る。
「これに乗り遅れまいと、新聞社も揃ってスポンサー契約を結ぶ見込みです」
とは、全国紙の某幹部。
「新聞社では読売だけが、2004年のアテネ五輪からJOC(日本オリンピック委員会)のオフィシャルパートナーだった。その経緯から当初、読売が東京五輪のスポンサーに名乗りをあげ、協賛金は40億円とも50億円とも言われていた。ところが、他の新聞社が『自国の開催で1社独占はよくない』と言い出した。最終的に読売を含め全国紙5社が参加。1社あたり15億円の協賛金で決着する模様です」
5社で75億円。組織委員会にすれば、読売1社に比べ、遥かにおいしい話である。さて、手元に本誌が独自に入手したペーパーが4枚ある。電通が新聞社向けに作成したスポンサー契約のための資料だ。
それによると、契約はA、B-1、B-2、Cの4ランクに分けられ、全国紙は最上位のAコースを契約する見込み。ちなみにB-1の協賛金は1社あたり5億円。こちらは、ブロック紙が契約するとみられる。
「Aコースの場合、オフィシャルパートナーやオフィシャルサポーターといった呼称使用権、マスコットやエンブレム等公式マーク類の使用権が与えられます。B-1と比べ、その権利の範囲は雲泥の差です。また、開会式や閉会式のチケット購入の枠があったり、聖火リレーの参加枠や宿泊施設の優先購入権もある」
■バッハ会長の方針
もっとも、ある業界通は、
「五輪スポンサーは一般企業のイメージアップに貢献するでしょう。でも、社会の木鐸の新聞社が今更、そんなことしたってね。取材の便宜を図ってもらえるわけでもないし、1社15億円は高いんじゃない?」
スポーツジャーナリストの谷口源太郎氏は言う。
「IOC(国際オリンピック委員会)のバッハ会長の方針が功を奏し、金集めがうまくいっているという側面が強い。つまり、彼は金権主義者、金にこだわる現実主義者です。具体的には、これまで1業種1社に限定していたスポンサー契約の原則を、必ずしも守らなくてもよいとしています。一昨年11月に初来日した際も、JOCに『できるだけ多くの企業を集めてくれ』と指示を出したほどです」
エンブレムの白紙撤回で、少なくとも1億6000万円の経費が無駄になった。だが、これだけスポンサーが集まれば、この程度の金額は微々たるものと言われてしまいそうである。
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