「マイケル・ジャクソン」グッズが販売禁止にされた「最後のフィクサー」
ちょっと前まで歌手マイケル・ジャクソンの日本における権利は、この人物が握っていたのをご存じだろうか。8月31日、東京地裁は朝堂院大覚氏(74)=本名・松浦良右=に、マイケルの肖像や名前の使用権がないという判決を下した。だが、ご本人はどこ吹く風。マイケルとの契約と友情は今も変わらないと言うのである。
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朝堂院氏と言えば、かつて後藤田正晴元官房長官や石原慎太郎氏らとパイプを持ち、オウム真理教幹部から相談を受けたり、朝鮮総連本部ビルの売却問題でも名前が取り沙汰されたことのある人物
この裁判、訴えていたのは、「マイケル・ジョセフ・ジャクソン遺産財団」と「トライアンフ インターナショナル コーポレイテッド」。6年前に急死したマイケルの遺産を管理する団体と、写真や名前の使用を管理する会社だ。
対して被告は朝堂院氏ほか3社。判決文によると被告らは、マイケルの写真やロゴ入りのグッズを勝手に売っているが、それらは原告が許可したものではなく契約書に書かれたマイケルの署名も、「偽造と推認される」としている。
それにしても、なぜこんな裁判が行われているのか。朝堂院氏と言えば、かつて後藤田正晴元官房長官や石原慎太郎氏らとパイプを持ち、オウム真理教幹部から相談を受けたり、朝鮮総連本部ビルの売却問題でも名前が取り沙汰されたことのある人物。
そんな朝堂院氏とマイケルとの関係がニュースになったのは1998年のこと。この年の7月、訪日したマイケルは朝堂院氏と「マイケル・ジャクソン・ジャパン」という会社を設立している。日本でテーマパークや玩具店を開くというものだった。
「マイケルが元気な頃、朝堂院氏は“俺はマイケルに頼りにされているんだ”というようなことを言っていました。マイケルは朝堂院氏のことを“ファーザー”と呼んでいたそうです」(ジャーナリストの高山住男氏)
マイケル・ジャクソン
ところが、マイケルが急死すると先述の遺産財団が設立され、財団の弁護士が朝堂院氏を提訴。だが、彼は弁護士もつけずに法廷に臨み、結果敗訴となったのである。
■痛くもかゆくもない
だが、当の朝堂院氏は涼しい顔だ。
「今回の判決で負けたのは3社です。この3社がインターネットでマイケルのグッズを売るのを差し止められたのですが、同じような会社は日本中に500社以上ある。だから、グッズも会社を変えて、また売ればいいだけのことです。もちろん、控訴はするけどね」
それにしても朝堂院氏、マイケルとはどんな付き合いだったのか。
「知り合ったのは97年のことです。俺は当時、『世界黒人会議』や『国際宇宙法学会』という団体をやっていた。そして、赤坂に黒人専用のクラブを経営していたのですが、そこヘマイケルの秘書が客で来ていた。マイケルは彼を通じて俺に興味を持ったらしく向こうから連絡がありました。その年の9月、都内のホテルで面会し、数日間、ずっと一緒に行動しましたよ。それで翌年、2人で会社を作ることになったわけだ。この前後に、俺はマイケルに5億円出している。だから判決がどうあろうと権利は俺のものなんです。契約書類? そんなものいちいち見てないよ」
そう主張する朝堂院氏、法律の「枠外」で生きてきたフィクサーだけに、判決は痛くもかゆくもないらしい。
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